外国人教員官舎跡に案内板とモニュメントの設置を      「宮澤・レーン事件を考えるつどい」

宮澤・レーン事件を忘れまいと、私たちは毎年12月8日前後に事件とその背景を考える市民集会を開催してきました。昨年12月11日には、(コロナ下の入場制限のもと)約80名が参加し、北大の回答に対する抗議と新たな取り組みの構築を目指して集いが開かれました。 

代表幹事の唐渡興宣北大名誉教授の「宮澤・レーン事件の今日的意義」と題する講演は、宮澤弘幸の人間の尊厳をかけた生き方を明らかにし、それを強いた社会を告発しました。参加者から宮澤・レーン事件について大変わかりやすかったという言葉を聞きました。

北大工学院教員の山形定さんは、「軍事研究への動員が進む大学の現状」を具体的に明らかにし、安全保障の名のもとに大学と研究者を取り込む動きに警鐘をならしました。

続いて事務局からは申し入れの経過と回答が紹介され、北大の回答は、署名と「一言」に込められた私たちの思いを受けとめていない、構内に数多の案内板やモニュメントがある中で、どうして外国人教師の官舎で展開された「心の会」と事件のことを表に出せないのか、運動を広げ何度でも要請しよう、と呼びかけられました。

「戦雲迫る時代にあっても、国籍や身分の違いを越えて学問の真理を追究し、視野を世界に広げ、固い信頼で結ばれた学生・留学生(中国人など)と外国人教師の営み」、すなわち「心の会」こそ北大の良き伝統であるはずです。賛同に添えられた「一言」も述べています。「このモニュメントは北大の良心の中核になるべきだと思います。今後いかなる時勢になっても、学問の真理に基づき判断し行動すべきことを思い出させるものが必要だと思うからです」と。初めての参加者も多く、レーン賞を受けた学生は「受賞式では事件のことについては何の説明もなかった。特別展もみて自分で調べている」と話しました。感動的な集いだったと参加者はこもごも語っています。

忘れてはいけない出来事を忘れることのない形にして残すこと―。集団的自衛権を認めた安保法制を実質化し、国民の諸権利を蹂躙し、敵基地攻撃の大軍拡を推し進めようとしている岸田政権。私たちは宮澤・レーン事件の教訓を繰り返し思い起こす必要があると思います。