菅政権の学術会議新会員候補6人の任命拒否への抗議

                                                  2020年10月25日

菅政権の学術会議会員任命拒否に強く抗議する

宮澤・レーン事件を考える会

代表幹事  山本玉樹(クラーク講座主宰)

      唐渡興宣(北大名誉教授)

      相馬述之(札幌北光教会)

 10月1日、菅首相は日本学術会議の新会員候補6名を除外して任命した。なぜこの6名の任命を拒否

したのか。菅首相は、「総合的、俯瞰的観点に立って判断した」「任命権は首相にある」と言うばか

りで、何ら具体的な理由を述べようせず、学術会議や国民の批判には耳を貸そうとしない。

自民党などでは「学術会議はどうあるべきか」と論点をずらす議論をしようとしている。しかし、

いま問題なのは、なぜこの6名を任命しなかったか、その理由である。理由を菅首相は堂々と述べる

べきである。そうすれば国民は菅首相が何をめざしているのかを理解するであろう。説明しなけれ

ば、菅政権はやはり私たちの考えていた戦後の初心を圧殺する強権的な政権であることを、国民の

前に誰もがわかるように晒すだけであろう。

理由も明らかにせず任命拒否を既成事実にすることは、間違いなく学界に萎縮と忖度をもたらし、

学問の自由を押しつぶし、国策に迎合する学問とそのような社会を招来することになるであろう。

この強権的な政治運営は戦前のような暗い時代の到来を予感させる。学問も教育も経済も社会もす

べてを戦争遂行体制に組み込み、国内にも国外にも莫大な犠牲を強いたあのアジア・太平洋戦争への

反省から戦後は始まった。しかし菅政権は、戦後75年の年に、戦後の初心を潰してしまおうとして

いる。

私たち宮澤・レーン事件を考える会は、1941年12月8日、太平洋戦争開戦の日に北海道大学で引き

起こされた宮澤・レーンスパイ冤罪事件の教訓を学び続け、ふたたびあのような事件を繰り返させ

ないとの思いで活動してきた。大学と学問はすべて戦争の道具にされた。傍若無人に国家権力が

大学に介入し、平気で冤罪を作り上げていった。私たちが強く抗議するゆえんである。

私たちは、今回の措置に強く抗議する。